歴史の始まり
明治の中ごろ、現在の神奈川県座間市・座間神社 一の鳥居脇に居を構えていた山本粂三郎(のちの元湯玉川館の創業者・初代主人)は、一人息子(二代目・山本久一郎)の体が弱かったこともあり、「医師が常駐し、お客様の健康相談にも応じる宿屋」の創業を計画し、土地を探しながら屋号を思案する日々を過ごしていました。
屋号が決まり、相模川付近に土地が決まりかけたその頃、知人から玉川村七沢の「元湯」と呼ばれる湯治場が引き継ぎ手を探している。という話が舞い込みます。
安政の頃より、農業や林業に携わる人々が〝骨休め〟や〝からだ作り〟に通うほどの〝くすり湯〟として知られる七沢の湯であれば、当初の計画にも近い「体を休め、気持ちを休めていただくことで、健康な体づくりに役立つ宿屋」が実現し、また息子の体にも効果があると考え、先祖代々の地である座間から七沢への移住を決意します。
湯治場としての強い想いを携え、屋号は地名を加えた『元湯玉川館』と改め、明治35年(1902年)9月15日、山あいの宿屋は歴史を歩み始めました。